[#617]価格の考え方【陶芸家になる】

プロとしてバリバリやっている方々は色々な経験をふまえ、そう悩む事もなく作品の価格設定をしていると思いますがこれからバリバリやっていくんだという人は結構悩まれている事だと思います。
原価計算をして、必要経費を出して…と言われても、どんぶり勘定も出来ていない事だと思います。
その原因のほとんどは、材料費や家賃、燃料代など実際に支払われる為見える数字は計算できるのですが労働力に対する計算が出来ないからです。

手作りの陶器は手間ひまがかかります。ここが一番のコストです。
はっきり言うと材料費の占める割合ってそれほど無いと思いますよ。床屋さん並みかな?
僕も始めて数年はそこら辺の理屈がよくわかりませんでした…。


分かりやすいどんぶり勘定的な最低価格設定の考え方を紹介します。

1.1ヶ月あなたの生活を維持するのにいくらかかるのでしょうか。(または欲しい額)
2.制作にかかわる原価や光熱費、家賃、などの経費。
3.たとえば、湯のみだけを半年作り続けると何個出来るでしょうか。もちろん制作外の作業もしなくてはいけません。(土作りや窯焚き、掃除、事務仕事…etc 週一回の休みも入れてください)
※1年でも3ヶ月でも構いませんが1ヶ月だと分かりにくいかなと思います。


(下記例の数値にはまったく根拠がありません。それぞれ環境が違いすぎるので…)

(1が20万円なら半年で120万円)+(2も半年分)÷(3)=価格
仮に(3)1800個作れるとして(2)が120万円だとすると、この湯のみは1333円で売らなければなりません。
ただしこの1333円というのは卸価格です。販売価格は掛け率によりますが2600円前後となるのでしょうか。

独立したての頃はどうしても自らによる手売りがメインになるので卸価格というのを考えにくいかもしれませんが作家はは制作者です。
ゆくゆくは販売は販売者にしてもらう事を考えましょう。
そうすると今まで1000円で売っていたものは、(本当は違うけど)まるまる1000円になる感覚ですが、500円で卸すと考えるとどうでしょうか?
ちょっとキツくなるでしょう。
かといって価格をあちこちで変えて出すのは得策ではありません…

こうして出された価格はプロとして生きる最低線の価格です。(付加価値は入っていません純粋にコストのみです)
逆に言うとこの価格以下で出すという事はもうプロ(職業)としては破綻しています。売れば売るほど赤字になるんですね。
もちろん集客の為のセールや、顧客をつなぐ為の営業戦略的な価格割れはあると思います。
また単一アイテムだけで売っているわけではないので総合的に折り合いを付ければいいとは思いますが。
計算で出された価格が500円なのに2000円で販売している事もあると思いますが、これで売れるという事は作品の魅力、作家としての価値が上がるという事なので喜ばしいことだと思いますし、そうでなければなりません。

また、導きだされた価格で販売しても売れないのなら、まずは営業努力をするとか生産能力を高めるとか、経費を節約するとかの努力をするべきで、売れない→低価格にするという発想はあまりに安易だし業界としてはいい事は一つもないと思います。
(良い作品を作るとかは当たり前なので省きました)
健全な価格競争をしなくては激安弁当競争みたいになっちゃって共倒れしちゃいますね(笑。


以前やきもの市に出た時に隣にいる方が急須を2千数百円で売っていました。
もしロクロが上手で仕事も速く、いろんな経営努力の上でその値段なら尊敬しますが、、、どうやったらこの値段で売れるんだろう?と思いました。

アマチュアの方々は制作自体が目的ですのでこんな事考えずに自分の感覚で好きにつければいいと思います。
陶芸の世界はプロとアマチュアの境界線が曖昧で混在している業界なのでよくプロとアマの違いは?なんて話にもなりますがここらへんが一つの境界線かななんて思います。

つづく
!→…ranking
by tenstone | 2010-01-21 14:45 | 陶芸コラム・column | Trackback | Comments(8)
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Commented by do at 2010-01-22 23:07 x
こんばんは。今年もよろしくお願いいたします。m(_ _)m

価格設定の考え方、ためになりました~ (^^)
この前イベントで出店をお願いされまして、
苔玉とか木工作品で出てみようかなぁ・・・と思っていた
矢先だったので。

以前ゼネコンで勤務していた際の積算を思い出しました。
「そういやそうだったよなぁ」と感心です。

また工房にお伺いしたいと思います。
でも雪降ってる時期はロードスターではムリかな?(笑)

では~
Commented by tenstone at 2010-01-23 10:44
□doさん
こんにちは。
これは職業としては当たり前の計算なんですよね、でも仕事じゃない人は気にしない方がイイと思いますよ。材料費+αでいいんじゃないかな。
FR車だとトランクにブロックいっぱい積んで重たくして来てください(笑
Commented by sundrop at 2010-01-25 17:16 x
お久しぶりです、こんにちは。
仕事じゃない人です。 σ (^~^;)
“材料費+α” の “+α” で悩みます。
でも、プロの方のお話はやっぱり興味深く、
とても参考になります。
Commented by tenstone at 2010-01-26 11:59
□sundropさん
おひさしぶりです!
ではいっそ「+α」は無しでいいんじゃないでしょうか^^
もし教室なんかで焼成してもらっているのであれば、そこの材料費として+αはもう含まれているんじゃないかな?
自分の窯でしたら維持補修費なんかの足しくらいを+αとしてもいいかも
Commented by 松本 知之 at 2010-01-28 23:40 x

ご無沙汰しています。
とーーっても参考になる文章で、「なるふぉど」「ふむふう」とばかりを頷いていました。私が最初に展示をさせてもらったときは、値段の付け方が分からなかったから「こんもんかなぁ」と付けてみると、ギャラリーのスタッフさんに「こんな値段ではギャラリーのレベルが低くなりるので、これくらいの値段にしてもらわないと困ります。と怒られてしまった記憶があります{苦笑}でも、何でも揃うこの時代で、手作りの器にお金を支払って購入してくれることには本当に幸せですね。

来月の個展も楽しみにしています。
応援してますね。
Commented by tenstone at 2010-01-29 10:29
□松本さん
こんにちは!
これ、まだ続きがあるのでそのうち書こうと思っています。
価格のつけ方は難しいですね、そのギャラリーの方が仰っている事も大事な事だと思います。僕も前ギャラリーでは他の作家さんの作品を扱っていたので同じような事を思った事があります。
個展、時間ありましたら来てくださいね。
Commented by ひらた at 2010-01-30 18:13 x
はじめまして。
お仕事にしていない人ですが、
自由業なのでちょっとお仕事を減らして作陶時間を
増やし、委託とかしてみたいなと考えていたところでした。
今までみたいに+α無しにするとその分貧しくなるので
どうしようかと思っていましたが、
「費やす時間」の概念とても勉強になりました!
Commented by tenstone at 2010-01-30 19:28
□ひらたさん
はじめまして。
つづきに書こうと思っているのですが、実際には相場感や自信、客層…なんかが絡んでくるとおもいます。
でも、一度ちゃんと基礎の価格を考えるといろんな事が見えてくると思います。
がんばってください!


札幌の陶工房&器ギャラリー【STUDIO TENSTONE】橋本忍の作品紹介や陶芸のお話。下のマイクマークからインタビュー記事へ


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