[#396]陶芸相対性理論^^

よく聞かれることがあります
「この器、軽い(重い)ですね。何グラムですか?」
「薄い(厚い)ですね、何ミリくらいですか?」
重さや厚さを数値にして考えたいというのも分かりますが、数値は決して真実を教えてくれません。

屁理屈と思わないでください。
1kgのカップ。
10cm×8cmなら重たいでしょうが、100cm×80cmなら軽いでしょう。
そう、僕たちは物質の素材や大きさに対しての重さの基準を生活経験の中である程度作り上げています。
その基準に対して「重い」や「厚い」を感じているんですね。
ですから持ち上げる前に予想した重さと持ち上げた後の現実の重さを比べているのです。
「重い」ということは、重いのではなく「重いと感じる」ことなんです。
では、軽くするにはどうすれば良いのでしょう?
「軽く感じさせる」ことです。
いくつかのポイントがあると思います。
[#396]陶芸相対性理論^^_b0022655_12381974.jpg
器の重さを予想するポイントは

1.素材
2.大きさ
3.厚み
4.その他、小さな要素(色や、周りの空間、直前に手にした物、普段使い慣れている物…もしかしたらニオイや音も関係するかもしれない)

実際に手にして感じる重さのポイントは

重量と重心

これだけです。

1.陶器より重たい物に見えれば軽いと感じるがその必要性はないでしょう。
2と3の関係が一番重要です。
写真はよく軽いと言われる器ですが縁の厚みに対して、その下ボディーの厚みは半分あるかないかです。
あとは重心が支点から離れなければそう重たくは感じないはずです。

結論をいうと、
悪そうな人がちょっと善い行いをすれば善人に見えるということでしょうか?(笑
人は見かけで判断しています!?

軽いのがいいとか、薄いのがいいとか、大きいのがいいとかはありませんので
作る物をどう表現したいかによって使い分けるといいでしょう。

色や形、安定感、繊細さ、などなど全てのことが相対的に感じられている事なのです。
尖った物は尖っているのではなく尖っているように感じているだけですから、本当に尖っているのか?なぜ尖って見えるのか?と考えるようにしています。
見る人は感じるだけでいい事ですが、作り手はその理屈を理解するべきではないでしょうか。…天才ではないので
偉そうに失礼しましたm(__)m


…ranking
by tenstone | 2008-01-07 13:27 | 技法・technique | Comments(14)
Commented by coeurdefleur at 2008-01-07 19:58
器には重いも軽いもありませんものね。
意味づけをするのは「わたし」。
私の場合は見た目よりも、普段使っているものと比較してしまうようです。
それよりも重いから、あるいは軽いからといって使いにくいことはないような。
それよりも、「あ、重い(軽い)」という感じが新鮮で好きです^^

tenstoneさんの器は総じて重そうに見えます(私が見たものに限りますが)。
手に取ると思っていたのよりずっと軽い。
重厚なイメージは色や質感からくるのでしょう。
これって既成観念ね。
なので、裏切られたときにふふふと嬉しい^^
Commented by tenstone at 2008-01-07 21:12
□柊さん
仰る通り、
重い軽い厚い薄いが使い易さとは直結しないと思います。
色や形だけでなくそれらも含めて作品なので、作り手はどこをどう狙うかを考えないといけないんですね。
最後は使う人の好みです^^
Commented by ansyu at 2008-01-07 23:26 x
私を含めて素人の通う陶芸教室などでよく見かける風景です。
生徒は先生に基準となる数値を求めます。
それに対して先生は数値を答えます。そのほうが簡単だからでしょう。
そして生徒はそれを真似る事に精進します。

大切な事をわすれているのですね。
作り手、表現する人の自分自身の意思。
他のものに左右されない作り手の意思。

ものを作る人、表現する人がどういう姿勢、感性で

Commented by ansyu at 2008-01-07 23:33 x
また誤って送ってしまいました。最終行を消し忘れました。
私のほうにも返信書きました。
Commented by Potter-Y at 2008-01-07 23:49
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。
悪人と善人の例え、わかりやすいです。(笑)
大きさは測りますが、あまり重さは計って作りませんね。
土やかたちによって自然と厚みが決まってくる感じです。
Commented by かにちゃん at 2008-01-08 11:03 x
年頭の言葉、しみじみ読ませて頂き感じ入っております…

いつも、完璧なバランスとデザインで作品を作られて居られる

方ほど、常に切磋琢磨されていること。

陶芸を通じていろいろ学べる幸せを感じつつ…

今年も益々のご活躍、お祈りいたしております。
Commented by tenstone at 2008-01-08 14:50
□ansyuさん
はじめのうちは基準が必要だと思います。技術をつけるためにも。
それをふまえて自分のスタイルを主張していくといいかなと僕は思っています。
感覚のいい人は自然にやっている事ですが^^

□Potter-Yさん
あけましておめでとうございます!
臨機応変。ですよね
悪く言えば現場合わせ!?(^^)

□かにちゃん
あけましておめでとうございます
全然完璧じゃないですっ(^^;)
こうやって書くのはダメなじぶんに向けてるのかも…
今年もよろしくお願いします♪
Commented by スティング at 2008-01-09 00:39 x
抽象画家でも基本となる写実的な絵はもちろん上手いってことですよね人それぞれで、他の演奏家の音・奏法は、なるべく聴かないと言うバイオリニストもいますけど。陶器や器って、温か味・優しさですよね。手に触れる品物ですから。やっぱり 我々は優しさに触れたいのです。
Commented by tenstone at 2008-01-09 18:01
□スティングさん
どんなジャンルでも皆さん持論を持って精進してるんでしょうね。
>温か味・優しさですよね。
僕については引き算したデザインの中にどうやって手の痕跡を残すか。というところです。
Commented by おーぬき しん at 2008-01-09 22:13 x
器を手にとった時、「思ったより」軽いと「感じた」ものが軽い。実際軽いもんだけが軽いんじゃない。
という大学の先生の話をまた思い出しました。
コメントを読んでいても思いますが、みなさん自分なりに器にむかいあってるんですね!そしていろんな器ができる。なんか素敵だ☆
Commented by おまけ at 2008-01-09 23:10 x
思わず読んで一人でうなってしまいました。
すごく分かりやす、ためになる。
今年もちょくちょくおじゃまします。
Commented by tenstone at 2008-01-10 00:39
□しんさん
あはは、みんな知っている事かも!?
わざわざ書いてしまった(^^;)
ホント、皆さんそれぞれがんばっていますね。
僕たちも頑張りましょ!

□おまけさん
今年もよろしくお願いします!
Commented by qharada at 2008-01-12 14:46
こんにちは!
今年もよろしくお願いします。

重さと見た目の関係、よくわかりました!
自分で作るときの参考にしたいです。

確かに、自分で作った器を持ってみると、なんとなく重たく感じたりしますから、一工夫するだけで、感じ方が変わるものなんですねえ。

がんばってみようと思います!
Commented by tenstone at 2008-01-13 21:21
□ qharadaさん
今年もよろしくお願いします!
参考になれば嬉しいです^^


札幌の陶工房&器ギャラリー【STUDIO TENSTONE】橋本忍の作品紹介や陶芸のお話。下のマイクマークからインタビュー記事へ


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